CEマーキングの概要
CEマーキングとは;
CEマーキングとは、EU(欧州連合)域内で流通させる製品に対して、その使用者及び消費者の健康及び安全を保護する事等を目的に、欧州委員会が発令したニューアプローチ指令を尊守し、EU域内におけるその製品の自由流通を確保する事です。従って、欧州への輸出に関係する企業や欧州に生産拠点を持つ企業にとっては、必須の条件としてCEマーキングへの対応が必要です。
CEマーキングは、製造業者が「適用の要求事項が満たされている」ことを、関係当局に知らせる手段であって、購入者に直接情報を与える手段ではありません。
実際の判断に当たっての技術的要求は、欧州規格(EN)と呼ばれる規格に委ねられ、その規格適合性が原則として製造業者自身の評価に任されています。
CEマーキングの適用は、一般的には簡明でありますが、場合によっては細心の注意が必要であり、あくまでも適応指令や規格によることが求められています。
CEマーキングの目的は、EU域内の各国毎にバラバラに存在していた安全規制を統合し、安全が保証された製品の流通を円滑にすることにあります。従来は、国毎に安全規制の範囲やレベルがまちまちなため、メーカは輸出先によって製品仕様を修正しなければなりませんでした。この事は長い間、メーカの負担になってきたと同時に、このままではEU統一市場のスケールメリットを生かせないこととなります。
そこで、EU委員会は機械、医療機器、おもちゃ、圧力容器等、製品のカテゴリー別に域内各国の安全規制を調整し、一本化させる作業を推進しています。こうした一本化された規制が、製品安全に関するEU指令です。
主なるEC指令;
数ある指令の中でも、特に多くの日本メーカを巻き込んでいるのは機械指令(2006/42/EC)、電磁両立性(EMC)指令(2014/30/EU)、低電圧指令(2014/35/EU)の三つです。機械指令は工作機械、ロボット、建設機械などの産業機械を中心に、洗濯機など可動部に危険性のある一般製品までがその対象に入ります。安全に関して機械製品が備えていなければならない基本的要件を規定しています。
EMC指令は電磁波を発するか、あるいは外部の電磁波によって機能に影響を受ける恐れのある製品に関する指令であります。電磁波を外に出さないだけでなく、外部の電磁波から機能が影響を受けない設計(immunity)を要求しているのが特徴です。「電磁波を出す製品」というとテレビ、ラジオ、携帯電話、パソコンなどが容易に連想されますが、もちろんこれらの製品は対象に入りますが、それだけでは有りません。工作機械の数値制御(NC)装置、ロボットのコントローラ、電磁ソレノイドを使った製品、モータ類を内蔵する機械製品なども対象に含まれます。相当、影響範囲の広い指令となっています。
低電圧指令は電源電圧が50~1000V(AC), 75~1500V(DC)で使用するように意図された製品がその対象です。
モジュール方式による適合宣言;
指令への適合を証明する方法は、モジュール方式と呼ばれる方法が使われます。この方法は、EUの加盟各国が従来から行ってきたさまざまな制度を、一つの基準に合わせ込むために考え出されたもので、我が国にとってはあまりなじみのない方法ですが、しかし、よく理解すれば、この方法はよく考えられた合理的な方法です。
モジュールはA~Hの8個あります。これで全部であり、それだけ知っていればよく、EC指令がいくつ出てこようと、それがどんな指令であろうと、この8つのモジュールのうち、一つか二つを組み合わせて適合性の証明を行います。
この点が、実はモジュール方式の優れたところです。「CEマーキング」と一言に言ってしまうので、どの指令も一つの窓口から出ているように感じますが、たとえば医療機器指令と機械指令では、所管官庁がまったく異なります。我が国でいえば、通産省と厚生省ぐらい違うところから出ています。その異なる官庁が、「モジュール方式」という共通の適合性評価方法を採用しています。メーカー側から見れば、モジュール方式さえ知っていれば、どの官庁に対してもまったく同じように対応できます。
一応、適正評価では必ず、製品そのもの(設計仕様)のチェックと、それを製造するシステム(ラインや工場のこと)チェックと二つの柱が必要になります。製品が安全規制に適合していることを証明し、次にその製品を同じ品質で作りつづけられる体制があるかどうかが問われるのです。設計チェックだけでは「技あり」に過ぎず、製造工程のチェックがそろって初めて「一本」になるというわけです。
モジュールにも設計チェックだけのモジュール(モジュールB)と、生産チェックだけのモジュール(モジュールC,D,E,F)があります。また別に、一つで設計と生産の両方を包含するモジュールもあります(モジュールA,G,H,)。
従って、モジュールBは必ずC,D,E,Fのどれかと組み合わせて使われることになり、そして、A,G,Hは単独で用いられれます。
8つのモジュールは、メーカが勝手に選べるわけでは有りません。指令によって選択された範囲が決められています。たとえば機械指令では、機械指令の付属書IV(添付書AP-2を参照して下さい)に列挙されている機械はモジュールB+C、それ以外はAと決まっています。それぞれの詳細は各指令をよく読んで確認しておく必要があります。
(添付書 AP-1) に適合性評価モジュールを表にしていますので、参照して下さい。
機械安全指令(2006/42/EC)の要点:
対象品目と適用される適合性評価手続、及び対応規格の関係は非常に複雑でありますが、要点は次の3点です。
① 当該機械に関する指令書の要求事項(機械指令の付属書I)、及び対応規格(EN)にしたがって安全性を点検し適合させること。
② 大部分の機械はモジュールAの該当で、自らの責任において製造技術ファイルを準備すること。
③ ノーティファイドボディ(NB)の検査が義務づけられている場合であっても任意に検査を依頼する場合であっても、事故等の問題が生じた場合の責任を負うのは製造業者自身にあること。
対象(指令1条他)
本指令は健康と安全に関し、機械が満たすべき必須要求事項を規定しています。その対象とするものは機械のユーザー及び近傍にいる人の環境、安全を確保するための機械の性能と信頼性であって、いわゆる環境問題は対象になっていません。
一般的には組み立てられた機械が対象であって、部品は対象とならなりません。
ただし、機械の安全性を増やすためにユーザーが別途買い求めて機械に組み込む「安全部品」はそれ自体が本指令の対象となります。
動力源に関しては、電力、電池、燃料等外部から与えられたエネルギー又は、ばね、おもり等の蓄積エネルギーによって動力を与えられる可動部のあるものが対象となります。
上記の「安全部品」を除いては人力で動くものは除かれます。それ自体動かないもの(棚、足場、荷台(pallet)、手道具、手押し車等)も除外されます。
また、対象は一定の用途に対して定められる作動しない未完成品は対象から除外されます。
[対象となるものの例]
① 組み合わされた機械、複合装置、たとえばロボット化/自動化された作業用装置
② 機械の機能を変更する交換用装置。たとえばトラクターの動力部に取り付ける耕運、収穫、剥土、引き上げ用の装置。これらは部品ではなく、「機械」なのでCEマーキングの貼付は必要となります。
[除外品目リスト]
指令1条3項の除外品目リストは、除外品をもれなく書いたリストです。付属書 (AP-3)を参照してください。特定の機能を発揮するために動く能力を要する装置は、この除外リストに掲載されている場合又は他の指令がその機械から発生するすべての危険をカバーしている場合を除いてこの指令の対象となります。例えばEMC指令(89/336/EEC)が、ある機械に関し機械安全指令に述べられた危険を全部又は一部カバーする可能性があるが、その場合は機械安全指令の全部又は一部が適用されません。また、事務機械、研究所設備及び抵抗溶接、フラッシュ溶接などを行う工作機械は危険が生じる主な原因は電気的なものであり、本指令ではなく低電圧指令(2006/95/EC)が今後もカバーすることになります。
また、機械指令の付属書Iに挙げられた危険のいずれをも発生しない機械は、当然対象となりませんが、危険を発生しないというのは危険を封じ込める設計上の手段を講じる前にも危険でないということです。例えば安全にハウジングに収められたことにより始めて防止される危険は指令の対象からは除外されません。
手道具のように力を加えることを止めると直ちに停止するものは除外品目リストに記載されています。しかし、ジャッキ、チエンブロック、手動ウインチなどの吊り上げ装置は人力で動作するものであっても落下に伴う危険が付随するため除外されません。
放射線源は放射性物質を収めるカプセルなど放射線源そのものと見なされるもののみが除外され、放射線応用装置は除外されません。
輸送手段については車両そのもののみが除外されます。車両に搭載されるクレーンなどの機械は除外されません。
海洋船舶及び移動型海上設備は本指令対象から除外され、IMO(国際海事機関)規定でカバーされます。海上を移動するものとは見なされない固定式海洋プラットフォーム及び付帯設備や500トン未満の内陸用船舶は指令の対象となります。
輸出手段の除外;これは公道か否かは問わず道路網上において乗員を輸送する手段を除外するものであり、競走用車両も除外されます。しかし、工場区域内、飛行場など高速道路規則(highway
code)の適用を受けないものは本指令対象となります。
恒久的に使用される昇降機は、除外されますが身体障害者を運ぶ昇降台は対象となります。
劇場用エレベーターは除外されます。劇場用エレベーターとは、俳優や裏方をステージと隣接する場所(地下、天井、そで、オーケストラ席、舞台装置)との間を運ぶ常設又は仮説のエレベータです。
除外される軍用又は警察用に特に設計された機械は武器弾薬用エレベータなど専用に設計され製造された機械です。汎用品は対象となります。
なお、必須要求事項(機械指令の付属書I)に述べられている危険防止に対する要求項目は、次のとおりです。
① 一般的事項…材料、生産物、照明、設計、制御装置、始動、停止装置、モード選択、動力源、制御回路、ソフトウェア、安定性、破損、落下物、排出物、表面・エッジ・角の危険、工程間の危険、速度の変更、ガード、取付誤り、温度、火災、爆発、騒音、振動、放射線、レーザー、巻き込み、転倒、保守の方法、警報装置、指示書等に関するもの。
② 食品機械、携行把握/手案内機械、木工機械に特有のもの。
③ 機械の移動に関し、運転位置、制御装置、走行機能、自走機の制御、分解(破損)、転倒、落下物、牽引、電池、火災等に関するもの。
④ 吊り上げ装置のレール、強度、制御、ロープ等に関するもの。
⑤ 地下作業用機械の照明、停止、制御、火災等に関するもの。
⑥ 人の吊り上げ装置の強度、制御装置、落下、転覆等に関するもの。
機械指令の適用についての詳しい説明;
(1) 機械指令の対象は何か
添付書 (AP-3)に示す機械は除外されます。例えば、唯一の動力源が直接の人力である機械。プライヤやペンチ、はさみ、ハンドドリル、手動裁断機などが相当します。人力が歯車やてこなどによって増幅されるとしても、人力を加えることをやめるとその動作も停止するような手工具は除外されます。
一方、ばねや油圧用、空圧用の蓄圧器などに蓄積された人力を動力とする機械で、人力を停止した後に危険な動作が生じたり継続したりする可能性がある機械は、機械指令の対象となります。また、ジャッキ
や チエンブロック、手動ウインチなどの吊り上げ装置は、直接加えられる人力を唯一の動力としているとしても、一定の危険を生じ得ることから機械指令の対象です。
すでに稼動している機械や中古機械についてはどうするのか。
93年以前に製造され、すでに稼動している機械にはCEマーキングの必要はありません。ただし、その機械の所有者は、機械指令に適合するように改造するかどうかの判断をしなければなりません。
一方、中古の機械をEU域内に新しく輸出する場合は、新しい機械と同様、CEマークの貼付が必要になります。たとえその機械が中古であっても、EU市場で使用されることになるからです。
(2) どんな製品がEU公認機関の証明を受けるのか
機械指令に適用される機械は、種類によって二つのルートに分かれます。添付書(AP-2)に指定されている機械とその他の機械です。
添付書(AP-2)にリストアップされている機械は、見本が機械指令に適合していることをNotified
Body(ノーティファイド・ボディ=EU公認機関)によって確認し証明する必要があります。
EU公認機関とは、製品の形式試験や生産システムの検査を行うことを、EC委員会によって許可されている機関のことです。機械指令やEMC指令、医療機器指令などの指令の種類によって個別に登録されています。
(3) 該当する欧州規格(EN)がないときはどうするのか。
指令に適合するためには、該当する欧州規格(EN)に製品使用を適合させることが最低必要になります。欧州規格を探し出し言及するのはメーカの責任です。これを文書で説明するのが技術構造ファイルの重要な役割と言え、機械指令に適合している度合いの重要なバロメーターとなります。
欧州規格とは、CEN(欧州標準化委員会)とCENELEC(欧州電気標準化委員会)が共同作業によって作っているEU統一規格のことです。規格番号の頭にEN(European
Norm)という文字が入ります。しかし現状では、製品の安全に関する欧州規格の作成作業は遅れており、直接関係する欧州規格(タイプC)が未完成の製品がたくさんあります。
したがって、適合される規格の選択は次のような手順で行うように決められています。まず、欧州規格がある場合はそれに適合させます。欧州規格と完全に一致している機械をメーカが製造し、機械に適用される基本要求事項のすべてに欧州規格が適用される場合、メーカはEC型式試験を回避できます。この場合、メーカは技術ファイルの写し1通をEU公認機関に送付しなければなりません。EU公認機関はファイルを受理したことを認知し、保管することだけを義務付けられており、ファイルを検査する義務は有りません。
メーカが要求した公認機関は、メーカが実際に欧州規格に準拠していることをファイルにしたがって検証します。この場合、EU公認機関は適切な証明書をメーカに送付します。
欧州規格がない場合は、国際標準化機構(ISO)の規格に適合させます。欧州規格もISO規格もない場合は、EU域内の各国が持っている国家規格の中のどれかを使います。その場合、EU域内の国ならどこの国家規格を採用してもよいのです。この場合も技術構造ファイルを受け取って承認するだけで、見本が機械指令に適合することを直接確認しないこともあります。
最後に、どこを探しても規格がない場合、あるいは規格に完全には適合していない場合、「規格を使わず、自分で独自に安全であることを証明する」ことになります。規格の根底に流れている「安全を作る原理」に従い、製品の中に安全を作り込むことが必要になります。
技術的な裏付け文書である技術構造ファイルを作成できない場合、見本を試験して機械指令に適合するかどうかをEU公認機関が実体審査で確認します。EC型式試験証明書をいったん取得すれば、機械指令に適合していることをメーカがそれ以上文書にして証明する必要はありません。EC型式試験を受けた見本に忠実な複製を製造する方法を所有していることを、技術書類で証明します。
EMC指令(2014/30/EU)の要点;
概要
EMC指令は、ECの市場統合に伴う強制規格分野の基準認証制度の統一を目指す「ニューアプローチ」関係指令の一つで、機器が発生する電磁気が通信機器等の使用を妨げないこと及び機器が電磁気妨害に対して一定水準以上の抵抗力(immunity)を有することを求めるものです。
適用範囲、義務を負う者
指令の適用範囲は、域内で新たに生産された製品又は、域外から輸入された製品です。
指令に定められた義務を負う者は、製造業者、域内の委任を受けたもの又は市場に出荷した者です。その者はcompetent
authority(権能を有する機関)に対していつでもEC適合宣言及び/又は技術ファイルを開示できるようにしておかなければなりません。
対象製品
EMC指令の対象製品は幅広く、電子機器、エネルギー電送、通信ネットワークなどおよそ電磁気障害に関係する機器すべてが対象となります。発生する出力や周波数による範囲の限定はありません。特に関係が深いのは、家庭用電気機器、データ処理装置、情報・通信機器です。
部品(例:IC、低電圧ヒューズ、トランジスター、コンデンサー、抵抗器、ヒューズ台など「モジュラー」と称されるものを含む)は機器とはみなさないので対象にはなりません。部品や半製品を組み込んだ機器の指令要求事項適合の責任は完成品を組み立てる業者にある。ただし部品であっても複雑な特性を要するもの(例:電気モーター、サーモスタット、電子回路基盤、DIYキット)であって最終使用者に直接販売されるものは指令の対象となります。
[指令が適用される代表的機器]
① 妨害波の発生と抵抗力(immunity)の両方に関するもの
・ 通信端末機器
・ 家庭電気機器、可搬作業機器
・ 市販のアマチュア無線通信機
・ 航空、海洋無線通信機
・ ラジオ・テレビ放送
・ 起動装置を用いる蛍光発光体
・ 電球、蛍光管
・ 産業用機器
・ 遠隔通信装置
・ 情報機器
・ 教育用電子機器
② 妨害波の発生のみに関するもの
非自動重量計
③ 抵抗力(immunity)のみに関するもの
農林業用トラクター
[指令が適用されない代表的機器]
① 妨害波の発生と抵抗力の両方に関するもの
・ 市販されない無線機器でアマチュア無線家が用いるもの(アマチュア無線家とはITU無線基準の定義53の範囲内の活動を行うもの)
-CB無線機器は指令対象となる。
・ 自動車-ただし本指令を改正する案は、自動車に伴うEMC問題を含む。
・ 埋め込み式能動医療機器
・ 医療機器
② 妨害波の発生のみに関するもの
・ 農林業用トラクター
③ 抵抗力(immunity)のみに関するもの
・ 非自動重量計農林業用トラクター
適合性評価手順
適合性評価には、下記の手順があります。
① 統一規格によるもの(指令10条1項)
② 統一規格によらないもの、統一規格を部分的にのみ適用しているもの(指令10条2項)
③ 無線通信機器(指令10条5項)
(1) 手順①統一規格によるもの
製造業者(又は委任された域内の者)は適合宣言書を作成する。適合宣言書は、機器の出荷後10年間は、監査のためcompetent
authority(権能を有する機関)に対していつでも開示できるようにしておかなければならない。輸入品の場合は、輸入業者がこの義務を負う。
宣言書が含むべき内容は指令付属書に記載されているが、特に機器の説明、適用した整合規格及び適合性を確保するための内部の措置が記載されていなければなりません。
(2) 手順②統一規格によらないもの、統一規格を部分的にのみ適応しているもの
製造業者(または委任された域内の者)は適合宣言書を作成し、機器の出荷時点以後10年間、技術文書を製品評価のためcompetent
authorityに対していつでも開示できるようにしておかなければなりません。輸入品の場合は、輸入業者がこの義務を負います。
(a) 製品評価のための技術データ
機器の説明、設計・製造図(部品、モジュール、回路を含む)、設計・製造図の
解説、運転時の作業状況説明、指令要求事項への適合のため参照した規格又は他
の解決法、設計計算結果、試験結果
(b) 要求事項への適合を証明する文書
competent body(技術的能力を有する機関)又はNB(注)(通知機関)による
技術文書又は証明書。
技術文書と証明書は同等なのでどちらか一つを取得すればよい。
(3) 手順③無線通信機器-EC型式証明
製品の標本が指令の要求を満たしていることを通知機関が確認し証明する。
適合性評価の手順は 付属書 (AP-6) を、関連の規格は
付属書 (AP -7)を参照して下さい。
低電圧指令(2014/35/EU)
低電圧指令は電源電圧、交流で50V~1000V,直流で75V~1500Vの範囲で作動する機器が対象となります。
除外製品は以下の通りです。
・ 爆発しやすい環境で使用される電気機器、放射線用および医療用電気機器
・ 貨客エレベータ用電気部品、電気計測器、家庭用プラグ及びソケット、アダプタ、フェンスコントローラ、無線機器、船舶、航空機、あるいは鉄道で使用される特定の電気機器
上記以外の電子、電気機器が低電圧指令の適用を受けることを意味します。
製品の安全への応対
付属書Iの一般条件は
(1) 機器の安全上の基本的な特徴は機器自体に、または機器に添付する注意書きにはっきりと記載し、その特性を理解し、それに従えば機器が安全に使用、対用できるようにしておくこと。
(2) メーカー名又はブランド名、もしくは商標を電気機器上に明確に印刷しなければならない。あるいはそれが不可能なときは包装上に印刷しなければならない。
(3) 構成部品を含め電気機器は、安全かつ適切に組み立てられ、また接続されるような方法で製作しなければならない。
(4) 電気機器は、その設計趣旨に従って使用され、かつ十分に保守される限り次の項目で述べる危険に対する保護が保証されるよう、設計し、制作しなければならない。
(a)人体や家畜、直接あるいは間接の電気的接触により生ずる身体的障害あるいは他の
損傷の危険から、十分に保護されること。
(b)危険を生じる温度、アーク、あるいは放射(線)を生じないこと。
(c)人体、家畜及び財産が、経験上から明らかな電気機器によって生じる非電気的危険
から、十分に保護されること。
(d)絶縁は予測し得る状態に対して適切でなければならない。
以上、危険要素には大きく分けて2種類があり、それらが安全目的達成のための主な要素における一般的な条件の基礎となります。
すなわち、電気機器そのものから生じる危険に対する防護、電気機器に対する外部の何らかの影響で生じる危険に対する防護になっています。
この指令は電気機器の供給業者に対し、該当する機器が「安全」であることで「安全確保」のために高度な技術力を駐使していると認められる原則に従って設計されていることが必要です。
内部生産管理の規定
内部生産管理について次のように規定しています。
(1) 内部生産管理とは、次の2項で定める義務を遂行するEU内の製造業者もしくはその正式な代理人が、電気機器が適用される当指令の要求事項を満足している旨を保証および宣言する手順である。EU内の製造業者もしくはその正式な代理人は、各製品にCEマーキングを表示し、適合宣言書を制作しなければならない。
(2) 製造業者は3項で説明する技術面に関する書類を完成しなければならない。また、EUないの製造業者もしくはその正式な代理人は、製品が最後に生産されてから少なくとも10年が経過するまでの期間、関連国当局が調査目的にそれを必要とした場合、いつでも提出できるようにEU域内で保管しておかねばならない。
(3) 技術文書の内容は、それによって、電気機器が当指令の要求事項に適合していることを評価できるものでなければならない。技術文書の内容は、そのような評価に関するものである限り、電気機器の設計、生産、及び操作をカバーしていなければなりません。
なお、次の項目を含むこと。
a) 電気機器の一般的説明
b) 概念設計と生産用の図面、および製品、サブアセンブリ、回路などの構成
c) 電気機器の図面や構成および操作に付いて理解するために必要となる記述と説明
d) その一部においても、あるいは全体においても、適用した規格のリスト、また規格を適用しなかった場合、当指令の安全面を満たすため採用した解決方法に関する説明
e) 行った設計上の計算結果、実施した試験など
f) 試験報告書
(4) 製造業者もしくはその正式な代理人は、この技術文書とともに、適合宣言書の写しを保
管しなければならない。
(5) 製造業者は、生産工程が、製造される製品が2項で言及する技術文書および適用される当指令の要求事項に適合することを保証するように、あらゆる必要な対策を講じなければならない。以上、付属書IVの規定である。
安全規定で定義されている第6条の中で欧州電気機器適合証明委員会(CEE)または国際電気標準会議(IEC)が作成している安全規格を適用するよう規定しています。
低電圧指令のみの適用を受ける電気機器事例
家庭用電気機器:冷蔵庫、真空掃除機、吸水式掃除機、かみそり、バリカン、床磨き機、歯ブラシ、美顔器および整髪器、電子レンジ、小型グリル、小型トースタ、水槽機器および庭園池用機器(ポンプ)、加熱用および水供給サービス用循環ポンプ
その他の電気機器:テープレコーダ、オフィスコンピュータ用ハードディスク、ファクシミリ、プロッタ、リレーおよびコンダクダ
低電圧指令と機械指令両方の適用を受ける家庭用電気機器事例
脱水機、食器洗機、業務用グリルおよび業務用トースタ、ミシン、コンプレッサ、ヒートポンプ、エアコン、除湿機、ポンプ、手持型電動工具、換気扇および大型ファン、大型コピー機、食品でリスポーザなどです。
要するに、機械安全も電気安全も同じように適用する必要があるということです。
Note;
CEマーキングは欧州共同体のフランス語読み Communaute Europeenne の頭文字です。
N/B(ノーティファイド.ボディ): EU加盟格国により認定され、EU委員会に通
知された公認適合証明機関。これらのN/Bは
EU委員会より公表されます。
C/B (コンピテント.ボディ): 整合規格が無い場合等に適合証明を行うEU加
盟各国により認定された機関です。